お茶飲みしましょ!まずは一息。更新もまったりです。


by ittouan

おキツネさんの夢物語

素敵な本に出会いました。『ぼくの・稲荷山戦記』。
夫が先日買ってきて、私にもすすめてくれた文庫です。が、タイイトルを見てあまり気がすすまずに放ってあったのですが、昨日何気なく目を通したら夢中になってしまいました。^^
物語は主人公の中学生がお稲荷さんやおキツネさんと出会って、地元のお山を守っていこうと奮闘する中での成長を描いているユーモラスな児童文学です。
登場人物(人だけじゃなくて神さまたちも)が魅力的で、テンポもよく、あっという間に引き込まれていきました。優しくあたたかい世界に、思わず涙、涙。。
言葉足らずでうまく説明できないので、本文から心に響いた節をご紹介しますね。


『神』とお前たちが呼ぶ存在にも、滅びはあるのだ。
われらは自然の息吹が凝りて生まれし命ゆえに、自然の気の衰えはそのまま、その身にかえる。


これはミコトさま(お稲荷さま)が自らと自然のありようについて語られた箇所です。
自然の気の衰えが神さまをも弱らせる。。。わかるような気がしました。


お稲荷さんに会えるぞう!
なぜそんなに心ひかれるのかはわからなかったけど、とにかくもう一度、あの姿が見られ、声を聞けるんだと思うと、ただただうれしかった。
まだ『信』があったころの人と神さまとの関係は、そんなものだったのかもしれない。

それは例えれば木の葉を渡る風の音と、芽吹きの音と、花が散るときの音(というようなものがあれば、だけど)を言葉にしたような、聞き取ることも口にすることもできないような音の連なりだったんだ。


やさしいミコトさまが大好きになっていくマモル。
神さまの言葉は音としては聞き取れないけれども、自然の中に心で聞く言葉。
ああ本当に、昔の日本人はこんな風に神さまを愛して、神さまの言葉に耳をかたむけたのでしょうね。もう一度、思い出したいですね。


あるものをあるままに認められぬなら、あるものがあるがままに居られる時を呼ぶことはかなうまいよ。

山の開発者である父親を情けなく思い恥じて謝まる青年に、ミコトさまは『哀れ…と思うてやりなさい。』とこう優しく諭されるのです。
あるものをあるままに認める… 本当の意味でこれを実感・体現していくことが出来たら、人生はもっと軽やかに豊かに実りだす気がします。どんなことも…


最後に、つねづね私が感じていた感覚を言い表してくれた一文を。

つまりね、自然を守ってやるなんておこがましい考えじゃなく、おれたち自身を守るために、自然にはいまのままでいてもらわなきゃならないんだ。

山と海、河と緑、遥か大いなる自然と身近に触れることのできる自然。
それらと共に生きるというよりは、それらに生かされていることをかみしめると
ただただありがたいと思います。


物語で一番の山場、いにしえの時を遡る白昼夢の場面は、美しく幻想的です。
あなたもこの秋、おキツネさんの夢に酔うてみてはいかがですか?


<ぼくの・稲荷山戦記> たつみや章  講談社文庫 
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by ittouan | 2006-09-12 15:32 | 読んで聴いて観ちゃお